とら目線

創作と向き合う

ニートが幸せになる方法

前回の記事で「サラリーマン・ニート・旅人には共通の性質がある」と書いた。そして「サラリーマンが幸せになる方法」を記した。しかしニート・旅人に関しては触れなかった。旅人は放っておくとして、ニートが幸せになる方法はないと思っていたからだ。

 

ちゃんと考えてみよう

安易に結論を出すのは良くない。ニートにも幸せになる方法があるかもしれない。考察した上で"ない"と感じたならいいが、最初から決めつけるのは思考停止である。今回は「ニートが幸せになる方法」について考えてみよう。

しかし、めんどくさい。

パンドラの箱を開けたような気分だ。そんな難しいこと考えずに可愛いかなぴーのMADでも見てればよくない? それがいいよ、うん。

youtu.be

かなぴー可愛い*1

まあ自分で始めた事なので、ちゃんとやるけどね。

 

本題

まずは前提を確認する。今回書くのは「ニートが幸せになる方法」であり、「ニートから抜け出す方法」「ニートが救われる方法」は書かない。現実的な解を求めるので、厳しい内容になる。甘言を聞きに来た人は注意してもらいたい。また考察を妨げる社会通念は無視する*2形で話を進めるため、拒否反応が起きたらブラウザバックを推奨したい。

また厚生労働省ではニートの年齢層を「15-34歳」と限定しているが、今回は生き方に関わる記述なので年齢を問わない。14歳以下でも35歳以上でも良いと考えてほしい。

 

Chapter1:ニートを自覚する

始めよう。まずは前回「サラリーマンが幸せになる方法」に書いたのと同じように、ニートは自分自身がニートでしかない現実を受け止める必要がある。無数の可能性を持っているのではなく、現在進行形でニートというアイデンティティのみを持っていると認めなければならない。

Chapter2:全ての問題を自分自身で解決する

自らの選択でニートを選んだと確認したら、次は起きている問題を全て自分自身の力で解決すると決める。周囲への依存心を断ち切るという意味でもある。

Chapter3:「受け入れられる」を諦める

誰かに助けてもらおう、受け入れてもらおうとするのは甘えと見做し、その感覚を捨てる。ニートは無就業者であり、殆どの場合、世間に経済的な負担をかけている。強制労働させられたり国籍を剥奪されないだけマシと考える。

Chapter4:自身の興味あるものに向かって邁進する

集中力を全て自身の興味対象に注ぎ込み、日々を過ごす。その際、周囲を気にしないのは前提とする。生ある限り進み続け、死をゴールとする。

 

単純な生き方

以上が「ニートが幸せになる方法」だ。厳しい。就職活動の方が大分楽じゃないだろうか。しかしシンプルではある。選択肢が一つしかないので悩みは少なくなるだろう。修行僧に例えられるのも納得と言える。全ての項目を実行できればだが。

欠けらが形を貰ってから

それを全うし終えるまで

地続きで続く運命とやらも

笑い飛ばせる日々を願う

tacica/象牙の塔

真のニートと社会適応者の違い

先ほど挙げた四項目を全て身に付け現世におけるカルマを断ち切った人(笑)を真のニートと呼ぶことにしよう。真のニートは自立しているので、周囲に殆ど迷惑をかけない。もしかすると収入も一定数あるかもしれない。では社会適応者の中でニートに近い性質を持っている人、例えば自身の興味対象が社会的価値と結びついた結果、日夜学問している研究者*3と何が違うのだろうか。

ここに一人の研究者がいるとする。普段から特定の鉱物*4を大量に採取し、自宅にも保管しているとしよう。α研究の第一人者として名を馳せていた彼だが、ある日αには極めて危険な性質がある*5と判明し、周囲の反応は一変、妻子の住む自宅にマスコミや野次馬が詰めかけ、殺害予告含むバッシングを受けることになった。彼はどうするだろうか。

もし耐え切れずαの採集を辞め、家にある鉱物類も全て処分し世間に陳謝したとすると、彼は「鉱物そのもの」が好きだったとは言えない。「自身に利益を与えてくれる対象としての鉱物」が好きだったのだ。"自身に利益を与えてくれる甘い汁"が"不利益をもたらす災い"となった途端に態度が変わるなら、あくまで「社会適応の助けとなってくれる鉱物」が好きだったに過ぎない。探求心より自己愛の方が勝っていたのだ。

研究者が実は真のニートで、周囲が勝手に研究者だと思い込んでいたとしよう。そうすればバッシングなどどこ吹く風、今日もαの採集に出かけるはずである*6。彼に自己愛はない。真のニートは自己愛を持たないか、持っていても優先度が極めて低い。何故ならニートとは自己愛を周囲に満たして貰えない存在だからである。それにも関わらず*7探求心を満たすために日々を使う。

探求心が他の全ての欲求を上回っているのが真のニートだと言える。

他人の楽園では生きられない為に

炎上したあの日の悪魔が

その怒りを忘れる度

これで大丈夫と言い聞かせてきたのに

ねぇ  どうして?

来る日も僕らは

この痛みを忘れる旅に

さあ 声を荒げるのだろう

tacica/HUMMINGBIRD 蜂鳥

立派なサラリーマンは真のニートになれるか

前回「会社を勤め上げ定年を迎えた高齢者の中に尊敬すべき性質を兼ね備えた人がいる」と書いた。繰り返すが組織心理学でいう「Giver」のような人だ。その人たちから金品と財産を全て没収し、ついでに国家反逆罪の汚名も着せてみたとしよう。彼らは「Giver」としての振る舞いを持ち続けられるだろうか。多分無理だと思う。真のニートはそうであっても自分自身を曲げることは無い。社会性*8を理解した上で放棄する為に、社会的立場*9に拘泥する必要がない。どのような状況になっても一貫して自己の興味対象を理解しようと努力する。故に幸福である。私の考える限り、それだけがニートの持つ可能性であり強み*10だ。「素晴らしい生き方じゃないか!」と思う人は遅かれ早かれニートになるし、「無理~~~!!!」と音を上げる人は一時的にニートになっても直ぐ社会復帰するだろう*11

信念や正義を貫くのはどんな時だって難しい

強い力はその使い手を変えてしまう

人間が力を使うんじゃない 人間は強い力に使われるようになる

その人間がどれくらいまともかは権力を与えてみるまでわからない

貧しい聖人君子が 裕福になっても同じとは限らない

だから魔法少女たちは努力してるんじゃないかと思う 力に『使われる』のではなく『使う側』でいる為に

まともな世界から離れてしまわないように—

大鳥居あすか(魔法少女特殊戦あすか)

権力を持って尚、素晴らしい人でいるのが難しいように、社会的な立場を剥奪されても良き人でいるのは至難の業だ。恨まれ続けた正義のヒーローが地球を守ってくれるとは限らない。宗教を禁じられた高僧が犯罪を起こさないとは限らない。悪意に対する耐性というのは結構重要だ。数少ない勝ち続けられるタイプの人間はいい。負けを知り泥水を啜るタイプにこそ必要な能力でもある。「今の自分がどの程度自己愛に偏っているか点検する」のは、全ての人にとって実りある行為になるだろう。

真のニートと修行僧の違い

二点ある。まず社会的に認められているかどうか。少なくとも我が国では信仰の自由があり、宗教者として求道心を持つことは咎められない。ニートは存在だけは許されているものの、蔑まれ、疎まれ、排除の対象となる。肉体的に厳しいことをするのが修行僧で、精神的にマゾいのがニートだと言える。次に目的。仏教徒は殆どが悟りを目指す*12ニートはそれぞれの探求心に依って行動する為、目的が統一されていない。悟りは素晴らしいものとされており、一種の既得権益になっている。そこに心酔できる人は僧侶になる。ただ仏教(仏陀)の長い歴史に追随するだけでもあり、新規性がないとも言える。その点で"開拓者"なのはニートの方である。大抵、他の人が「価値無し」としたものにフォーカスするのだから。

で、真のニートっているの?

そ~~~れ~~~は~~~

知らん……

今回は「ニートが幸せになる方法」を書いた。「ニートってこんなに凄い」とか「ニートの地位向上を!」とか別の目的は可能な限り差し挟まないようにしている。だから現実的に到達可能な提言をしているかどうかは分からない*13。しかしニートになった瞬間「人生終わり」と思って生きるよりかは希望があった方がいいんじゃないかな。それだけは確かだと感じる。

神よ

変えることの出来るものについて、

それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、

それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、

変えることのできるものと、変えることのできないものとを、

識別する知恵を与えたまえ

ラインホールド・ニーバー/大木栄夫訳

各自の奮戦に期待する。

*1:響け!ユーフォニアム』はここまで目を通してこなかったが、三期から見ている。『リズと青い鳥』は視聴済み。『立華高校マーチングバンドへようこそ』も本棚にある

*2:ニートは早急に社会復帰すべきだ」「周囲がサポートすべきだ」等

*3:自身の興味対象を「研究してもよい」と社会的に許されている

*4:以下α

*5:特殊な環境下で高濃度の放射能を放出するとか。自宅で保管する分には問題ないと仮定

*6:周囲の人が危ないから外に出ない可能性はある

*7:自己愛を得るための不毛な闘争をせず

*8:それに従うことがどれほど人生を楽にしてくれるか、メリットがあるか

*9:つまり自己愛を満たしてくれるもの

*10:言い換えれば到達点

*11:幸か不幸か

*12:他力によって救済を得る場合もある。本願念仏

*13:宝くじよりは分の良い賭けだと思う