とら目線

創作と向き合う

『しずくモノクローム』感想の、あとがきのようなもの

今日もマウスを持ち忘れ、2日連続タッチパッド作業のとらです。ある程度方向性が固まったので、今回からブログ名が変更されています。「見る・聴く・触れる」もの全てを題材に出来るよう、視聴体験という言葉を使いました。日頃から創作物に触れる機会の多い人間なので、これが一番適しているかなと思います。

 

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©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

さて、昨夜掲載した『しずくモノクローム』の感想記事、ご覧になられましたでしょうか。まるで前触れのない投稿であり、普段から璃奈、かすみ、せつ菜に熱心な自分がしずく回を選ぶ必然性もないので、驚かれた方もいるかもしれません。

 

実のところ、初期計画においてはもっとさり気無い、個人的な感想を主体にして公開するつもりであり、昨夜の分析的な文章は「ついで」になるはずのものでした。

 

それが存外しっかりとした構成になったので、独立して先にあげ、編集後記として本来上げるはずだった方(「ついで」になってしまった)を一日遅れで掲載することにしました。

 

二週間前の文章を(ほぼ)修正せず、そのまま載せます。こちらの方が8話やアニメ虹ヶ咲に対する思いを直接表現しているので、人によっては面白いかもしれません。

 

注意:記憶違いなどもあるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

【編集後記】

自分の中の「桜坂しずく」像は、殆どが1st LIVEの『オードリー』で作られました。雨中を往く少女の映像と、傘を使って華麗に踊るダンス。印象に残る演出の中で、かなり強烈なイメージがこちらに降って来たのを覚えています。

 

既に周知となった通り、彼女は単なる演劇好きでなく、内面に暗い自己認識と、自分への嫌悪感を抱えた女の子です。ライブ当日にアニメ化が発表されましたが、彼女について〈本当の自分〉が主題となり、先日放送されたようなお話が展開されることについては、大方予想がついていたと思います。

 

しかし自分は1st LIVEでの『オードリー』を、「自分を表出できない」というより、「自分が存在しない」少女として捉えていました。演じることは好きだが、未だ自身の内面を確定できず、雨に濡れながら踊る姿。そんな表象を感じ取ったのは、映像として流れる雨が、内面(心)の揺れとして映ったせいかもしれません。

 

その為、「何物でもない女の子」が内面を探求して自分を確立し、桜坂しずくに「なる」物語(→より好きなジャンル)が描かれるかもしれないことに対して、期待を膨らませていました。

 

しかし実際に描かれたのは、仮面の少女が桜坂しずくという“本当”を出すようになるまでの物語。残念ながら、自分の見たいものとはズレがありました。勿論、彼女を描写するのであれば、薄っぺらい優等生の仮面を外し、清濁併せ持った自己を表現できるようになるお話の方が圧倒的に正しいのです。それでも一度組み立てられた形が脳裏から離れず、一周目は上手くストーリーに入り込めませんでした。

 

とは言え最初の24分間で既に、このお話は美しいと思えていました。理由は(好きな物語が見たい感情と同時に)どんな形であれ虹ヶ咲の子たちの魅力が伝わってほしいと願っていた自分にとって、桜坂しずくというキャラクターが強く視聴者の心に刻み込まれると確信できる、素晴らしいエピソードだったからだと思います。

 

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©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

今アニメを見ている視聴者の方にはピンと来ないかもしれませんが、虹ヶ咲は想像より遥かに血なまぐさい競争を経てアニメ化に辿り着いたコンテンツです。毎月キャラクターランキングが(最下位まで)発表され、企画に採用されるキャラもファン投票で決められるが殆ど。

 

その中で、一目で魅力を理解することが難しいしずくや、逆に一目見た以上の魅力(奥行)を与えるのが難しい彼方といった面々は、やはり不利な立場に置かれていたし、スクスタでも序盤の出番には格差があり、同じ土俵で勝負するための平等性が十分に確保されているとは言い難い状況でした。

 


※璃奈はボードを外すまで素顔が分からなかった為、尚の事苦戦していました

 

だからこそ、個別回が「璃奈・彼方・しずく」の順に並んでいるのを見た時、製作陣の“本気”を感じて、とても嬉しい気持ちになりましたね。何故なら彼女達の魅力を描き切る為には、このアニメがどんな雰囲気で、どのようなキャラクターで構成されていて、何を目指しているのか、十分周知されていることが必要だったからです。24分間を彼女等の物語“だけ”に絞れるようにした上で、最高のストーリーを仕上げるのだという気迫が伝わってきたし、実際に凄まじい完成度のお話を毎週叩き込んでくれました。そのような製作陣の尽力のお陰で、解釈違いを起こした中でも極めて肯定的に物語をとらえることが出来たかなと思います。

 

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©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

それでもやっぱり、普段なら絶対にないセリフの聞き逃しや、「こんなキャラいたっけ?」という見逃しが散見され、事前に構え事をしてアニメーションを見るとなかなか大変だなという事を実感する経験になりました。

 

ここまでが先に作成されていた文章です。

 

 

これが放送直前のツイート。‘‘楽しみ’’というのは上記の意味。

 

今考えると虹ヶ咲=「個」の物語なのでそれが見つかっていないところから描写するのはまあ無いのですけど、思い込みとは難しいものだと実感させられます。

 

さておき、いよいよ11話放送ですね。ここまでさり気無い描写に収めてきた歩夢ちゃんの‘‘爆発’’が見れることへの期待を記しつつ、本文は締めさせていただこうと思います。お付き合いありがとうございました。